自己理解・他者理解
心理学の理論の一つとして、「自己理解」「他者理解」があります。
カウンセリングやアドバイスの実践では、この2つは切り離せないものです。
自己理解とは、いくつかの手段を用いることにより、自分の気質や性格、タイプ、価値観、考え方、態度、行動などをより深く探り、自分自身がそれを受け止めることができている状態のことです。
他者理解とは、他者の行動や考え方を通して自己理解を助けること、自己と他者は別存在であることを知ること、他者との共存意識を成立させることなどが意識化できている状態のことです。
自己理解と他者理解は、いずれか一方だけでバランスのよい精神性を求められるものではなく、相乗的効果を生む分析や調整を図ることが望ましいと考えます。
このように、立ち位置を変えてみたり、多角的視点で見ることは、より適正な判断力を身につけていくために役立つより良い方法と言えるでしょう。
自己理解・他者理解の手段と効果
◎自己理解
・自己分析⇒感じ方 考え方、想いなどを推測、認識できる。
・データの活用⇒分析結果 検査で、より明確化できる。
・他者からのフィードバック⇒聴く、受け止めることで、新しい情報が得られる。
◎他者理解
・熟達⇒人間的成長が期待できる。
・知能⇒行動観察から推論、一般原理や概念によって説明する能力を身につけていく。
・内面感受性⇒他者を示す自主独立性、客観性により受容できる強い感受性を認知することで、自己価値を見出していく。
・非権威主義⇒他者に対する共感、愛情、賞賛できる精神性が育っていく。
・自己洞察⇒他者への良い判断基盤を固めていく。
自己認知のための要件
自己認知(自己理解)は、自己分析することだけではなく、自分に向き合うことによる経
験や外部因果関係によります。
自己認知(自己理解)が健全であると、他者理解への適正が高まり促進されます。
自己理解だけが進むと、閉鎖的、妄想的な状態を作っていくこともあり、その結果、自信喪失や自己価値喪失になることもあります。
また、本来優れて能力であるはずの能力を適切な場で発揮できなくなることもあります。
他者理解は、他者の視点を理解すること、その視点を継続させることでもあります。
近年、急増している発達障害の子どもたちは、この他者の視点が乏しい場合が少なくありません。
他者の視点で自分を見ることができれば、他と違うことも理解できるので、その幅を狭めていくことを考えることができます。
しかし、他者の視点を持っていなければ、他のアプローチで学んでいくことが必要になります。
他のアプローチについては、知識で語るまでには至りませんが、経験的には、本人が不都合であると感じているように見えることを一つひとつ不都合でなくなるように、できる方法、やりたい方法を取り入れていくことで、「一緒」とか「同じ(一致)」という経験をさせてあげることが効果的であると感じています。