「ゴルディロックスと3匹のクマ」(支配星:天秤座)
設定 | 薄暗い路地に子どもたちが点在している。 徘徊しているようなうつろな目をしている子どもや、荒々しい動きをしている子どももいる。 皆、生きることが仕事…そんな世界。 |
ゴルディロックスちゃん (7歳くらいの女の子。中の上暮らしが崩れ貧困層の暮らしを強いられている。) |
(小さな声で) ふざけんじゃないわよ… あたしが正しいに決まってるのよ。 (普通の声の大きさで澄ました声で) (諭すように) |
ゴルディロックスちゃんは、いつもそう… どうしても気取ってしまって、自分が正しいと思うこと以外は許せないのです。 そして、自分の主張が通用しないことが、どうしても理解できないでいるのです。 (間) 大人には、大人の世界があります。 子どもには、子どもの世界があります。 動物には、動物の世界があります。 それに加え、貧富の差によって、力の差によって、さらにそれぞれの世界は細かく分かれているのです。 自分の生きる世界を越えて、別の世界に行った時、 でも、まだ小さいゴルディロックスちゃんが、そのことを理解するのは、難しかったのです。 | |
ゴルディロックス | (ちょっと投げやり) さぁ、みんな行くわよ。 |
ところが、誰もついて行こうとはしません。 ゴルディロックスちゃんにも、それははじめからわかっていたこと。 思いっきり強がった顔をして、「困ったものね」と言って、走り出しました。 行先がない…それが、ゆっくり歩き始めた理由でした。 しばらくして、自分が道に迷っているかもしれない…と考え始め、 |
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窓から中を覗いてみると、そこには心が躍るような素敵な光景が広がっていました。 | |
ゴルディロックス | わぁ…ぁ |
玄関に行ってみると、ドアは開いたままです。
部屋の中には、白い湯気の立つ美味しそうなスープが3つ。 | |
ゴルディロックス | わぁ~美味しそう! |
テーブルに駆け寄り、手を伸ばし、お皿を取ろうとすると、
大きいスープは、重すぎた。 椅子に座っていただきましょう… 大きい椅子は、高すぎた そこにも、やっぱり3つある。 大きいベッドは、登れない。 ふわふわ、ぬくぬく、心地よい… あっという間に眠くなり、いつしかほんとの夢の中… 夢の中では、裁判の女神アフロデューテが待っていました。 | |
アフロデューテ | 私は、アフロデューテ。 ゴルディロックス。 あなたのしたことは、正しいことではありません。 あなたは、そこのことを、心から恥じなければなりませんよ。 |
(少し長い間) コルディロックスちゃんは、まだ夢の中ですが、 さあ、大変! クマたちが帰ってきたようです。 | |
子グマ | あーっ! ぼくのスープがない! あっ、あっ、あーっ、ぼくの椅子が壊れてる! えーっ! ぼくのベッドォー! きみが犯人だね。起きろーっ(怖く言わない) |
ゴルディロックス | えっ! はっ! クッ、クマ! |
ゴルディロックスちゃんは、もうビックリ。 このクマたちに食べられてしまうかもしれない…と思ったら、怖くてとても動くことができません。 そんなゴルディロックスちゃんに、子グマは強い口調で言いました。 | |
子グマ | なんで、こんなことしたのさ。 きみの、いや人間の世界ではしてもいいことなの? ほくたちの世界では、黙っておうちに入ることも、スープを飲むことも、椅子を壊してそのままにすることも、ベッドで寝てしまうことも…全部してはいけないことなんだ。 |
でも、ゴルディロックスちゃんは、 子グマの話なんか聞いている場合ではありません。 この恐怖から逃れたい一心。 ゴルディロックスちゃんは、大急ぎで逃げだしました。 | |
子グマ | 待って!…待ってよ… 逃げることもさ、きっと間違っていると思うよぉー。 |
(少し間) ゴルディロックスちゃんがしたことは、どんな時だって、決して許されることではありません。 でも、彼女が生きる世界では、悲しくも、日常行われている行為なのかもしれません。 ただ責めるだけでは解決できないことを、「世界」は、たくさん抱えています。 だから… それは相手の立場に立ってみる…ということ。 たとえ、 裁判の女神アフロデューテが、私たちを、その解決の糸口へと、導いてくれているのです。 そして、 品格を損なわず 誰もが、時の架け橋となりゆくために。 |