「美女と野獣」(支配星:双子座)

父は、大金持ちの商人だった。
しかし、突然財産を失った。

家族は、田舎にある別荘へと移り住むことになりました。

商人の父には、3人の娘がありましたが、
皆とても美しかった。

姉2人は貴婦人気取りで意地悪な性格でした。
しかし、末娘のベルは特別に美しく、心優しく、賢い娘でした。

ある日、田舎町の港に、都会で流行っている商品を積んだ船が来るというので、父は港へ行くことにしました。

子どもたちに「何か欲しいものはないか」と尋ねると、姉たちは高価なものをねだりましたが、末娘のベルは何もねだったりはしませんでした。
そして、もう一度、父が「ベル、何か一つくらいはあるだろう…」と問うと、ベルは申し訳なさそうに言いました。

20歳くらいの感じ
ベル
「それでは、バラの花を1本お願いいたします。」
父は、ベルの謙虚さを微笑ましく感じながら、冬(ふゆ)寒(ざむ)の空の下(もと)、馬にまたがり出かけていきました。

港は、とても混雑して、人々が商品に群がっていました。
しかし、姉たちが欲しがっているような高価なものを手に入れることはできませんでした。
挙句の果てに、とんだトラブルに巻き込まれ、無一文で帰ることになってしまったのです。

薄紅を差したような空が、夕刻が近いことを知らせました。
家路へと急がなければなりません。
なぜなら、港から家に帰るには、広大で深い森を抜けて行かなければならないからです。
父は、無事に帰れるかどうか、少し心配でした。

そして、心配は現実となり、森の中では大雪に見舞われ、家の方向がわからなくなってしまい、ここで死んでしまうのではないかと、心がどんどん弱っていきました。
その時です。
遠くの方に明かりが…

父は、とにかく、そこを目指すことにしました。

しばらくして、冷たい雪を溶かすかのように現れたのは、暖かそうな光に包まれた立派なお城でした。

父は、中に入って、主(あるじ)の帰りを待っていましたが、疲れ切っていたので、いつの間にか眠ってしまいました。

翌朝、薔薇のわずかな香りで目を覚まし、窓際へと行ってみると、そこには、森が大雪だったことが信じられないほど、薔薇が咲き誇る美しい庭が広がっていました。

父は、思い出しました。

心優しいベルが
「それでは、バラの花を1本…」
と言っていたことを。

そして、
父は、ベルのために持ち帰ろうと、取り分け美しく輝いていたバラの枝を折りました。

すると、突然ものすごい音が…

おじさんっぽくない
野獣
「恩知らずめ!よくもそんなことができるな!」
恐ろしい顔つきの野獣が、父の前に現れました。

父は、即座に謝りました。
そして、娘のベルが、バラを欲しがっていたことを話し、お詫びを繰り返したのでした。

野獣 「そうか、お前には娘がいるのだな。
お前の娘の誰か一人が、お前の身代わりに喜んでここへ来て死ぬというのなら、お前を許してやろう。
ただし、全員が嫌だと言ったら、3か月後にお前はここに戻って来るのだ。いいな。」
野獣は、父にたくさんの土産物を持たせ家に帰らせました。
父は、家に帰ると、娘たちに野獣との約束について話しました。
子どもたちは、父を憐れ(あわれ)み嘆きました。
しかし、姉たちは身代わりになるとは決して言いませんでした。
ところが、ベルは、父から受け取った1本の美しいバラを見つめながら、
ベル 「お父様、私が参ります。
お父様への私の愛を示すことができるんですもの。
なんて喜ばしいことでしょう。」
こうして、ベルは野獣のもとへと向かったのでした。
お城に着くと、ベルをもてなすための準備が、すべて整えられていました。
ベルは、大広間へと向かい、心づくしの美味しそうな食事をいただくことにしました。
食事を済ませると…
ゴーンという破壊的な音が地面を伝って、ベルに襲いかかって来ました。
そして、現われたのは、父が言っていた通り、本当に恐ろしい顔をした野獣でした。
ベルは、気を失ってしまいそうになりました。
野獣 「そなた、ここへは喜んで来たのか?」
ベル 「はい、もちろんでございます。」
野獣 「おー、そなたは、なんと優しい子よ。私は礼を言うぞ。」
野獣は、ベルのためにできる限りの心を尽くしました。

城には「ベルの屋敷」と書いた表札
大きな書棚には、たくさんの本
美しい音楽の調べ

大きな鏡には、ベルが淋しくないようにと、ベルの家族の様子が映されていました。

ですから、ベルには、野獣の心の美しさが、もう十分わかっていました。

しばらくお城で過ごしたある日、病気になってしまった父の姿が鏡に映し出されました。
父は、自分の身代わりで野獣のもとへ行ったベルのことを思い、哀しみ、病気になってしまったのです。
ベルは、野獣に一度家に帰してほしいと頼みました。

野獣 「ベル、本当に優しい娘だね。
そなたの望みを叶えてやらないはずがない。
その変わり1週間後に私のもとへ帰って来ると、約束しておくれ。
この指輪をテーブルの上に置いて眠りにつけば、翌朝にはここに戻れるからね。」
ベル 「お約束いたします。私は、間違いなくあなたのもとへ帰って参ります。」
そう言って、ベルは、急いで父を見舞うため、家に帰りました。
ところが、1週間後に帰る約束になっているという話をベルから聞いた姉たちは、悪知恵を働かせ、ベルが帰れないようにしたのです。

そして、とうとう野獣と約束した1週間が過ぎてしまいました。

あの方は、きっと悲しんでいるに違いないわ…約束を破るなんて私は本当に酷いことをしたわ…
ベルはずっと自分を責め続けていました。

10日目になって、
ベルは、野獣のもとへ帰ることを、ようやくと決心しました。

そして、野獣に教えられた通り、
指輪をはずし、テーブルの上に置いて眠りにつきました。

翌朝、小鳥のさえずりで目を覚ますと、そこはもうお城でした。
ベルは、いつも野獣が訪れる夜の9時になるのを、特別な装いに着替えて待ちました。

しかし、その時間になっても野獣は現れなかったのです。
「どうしましょう…悲しいわ。」

後悔に暮れていたベルでしたが、ここへ帰ると決心した夜、見た夢を思い出しました。
「あっ、そうだわ…夢では、あの方は、池のほとりにいたんだわ。そして、私が帰らないことを悲しんでいたわ。」

ベルは、急いでお城を飛び出し、中庭の池へと走り出しました。

池に着いて辺りを見回すと、野獣は、池のほとりで眠っていました。
ベルが、そーっと池の水をすくって野獣の額に落とすと、野獣は両目を見開いて、
野獣 「そなたは、私との約束を忘れてしまっていたのだね…私は、哀しみの余り、もう食べることを止めて死んでしまおうと思って、ここにいたんだよ。
もう一度、そなたに会うことができて嬉しいよ。」
ベル 「ごめんなさい。
あなたを死なせたりはいたしません。
私、あなたの妻になります。生涯、あなた以外に私の夫となる人はいません。」
ベルの涙が星の瞬きのように輝き始めると、お城は明るく浮かび上がり、空には花火が上がりました。
美しいオーケストラの音色も聴こえてきます。
ベルは驚いて、野獣の方に眼をやると…
なんということでしょう。
そこにいたのは、野獣ではなく、とても美しい王子だったのです。
ベル 「あの方は、どこへ行ってしまったの?
なぜ、私のもとを離れていってしまわれたの?」
野獣 「私はここにいる。これが、本当の私なのだ。
ベル、意地悪な魔女にかけられた魔法を解いてくれたんだね。
ありがとう。
私の心だけを見て、結婚しようと決意してくれた立派なそなたの心が、私を救ってくれた。

私の愛が、永遠であることを、心から誓おう。
さあ、ベル。行こう。私たちの結婚式へ。」

どんな愛にも、心に光が注れる時があります。
その時、愛は真実を語り始め、永遠の姿を映し出すのです。

私が、もしベルだったら…
あなたが、もしベルだったら…

この愛に向かっていくことができたでしょうか。

愛は、賢さを隠すように…と言っています。
愛は、新しいことを怖がらないように…と言っています。
そして、

愛は、言います。
真実は、あなたの心の中にある…ということを。

だから、
あなたの真実の愛を、あなたの大好きな人のために…
届けてほしいと思います。