入学式、卒業式は、学校では最高の格付け行事であって、これは、いわゆる通過儀礼です。そのことをすべての人が意識して参加することで、初めて、これらの行事が通過儀礼としての意味を成します。

もちろん、親は自分の子どもの成長が何より嬉しく、その喜びが、参加する気持ちの大部分を占めているはずです。今日のこの日を迎えられたことへの感謝、子どもの友だちの成長を祝う気持ち、式典開催に関わった方々へのお礼など、心を過ぎていくものは色々とあることでしょう。この色々な思いの割合が、保護者としての意識を芽生えさせる大切な要素なのです。

私たち自身が自覚した感謝や思いやりの心を、どのように表現すれば保護者らしいものになるのかを考えてみたいと思います。

 

感謝とお祝いの気持ちを、服装や態度で表す

服装を正すことは、子どもたちが式典の格付けを理解するためには、いちばん分かりやすい表現方法です。

いつもと違うと感じるのは、見た目で分かる外見に加え、服装を整えることで、私たち自身の立ち居振る舞いに変化が生じてくるからです。子どもにとって、「なんか違う」と感じられる投げかけが、子どもの意識を変えるためには何より効果的です。

子どもによっては、いつもと違う服装を嫌がることもあります。しかし、ここは、子どもの意思を通させてはならない重要なポイントです。といっても、けっして、力づくで強いるのではなく、式典を理解させることに努めなければなりません。そのためには、時間をかけて式典の意味や関わる人の思いなどを話す「ゆとり」が必要です。

そして、もっと大切なことは、私たち自身が、子どもたちよりも素晴らしい態度で式典に参列することです。

 

式典に寄せる気持ちを率直に子どもたちに伝える

私たちにとって入学式や卒業式というのは、子どもたちの成長を、立ち止まって確認できる貴重な節目です。親は、この日を迎えるまでの間に、子どもの生誕を願ったとき、子どもが母親のお腹に宿ったとき、その子どもが誕生したとき、そして日々成長していく中で、夢や願い、喜びや楽しみ、苦しみや悲しみなど、いろいろな心と接してきたのです。だからこそ、通過儀礼は大切にしたい時間なのだという私たちの気持ちを、素直に子どもたちに伝えましょう。

 

「今日の主役は、あなた一人ではない」

「今日の主役はあなた一人ではない」――そんなことは当たり前、と思われるかもしれませんが、言葉にして子どもに伝えることが必要です。たくさんの子どもたちが一緒ですから、子ども自身もそんなことは思ってはいないはずではあるのですが、「あなたは主役の中の一人であって、皆の成長をお祝いする式典であるから、集団を乱してはならない」ということを教えるチャンスなのです。また、「あなたがいなければ、全員とは言えなくなってしまう。一人ひとりの存在があって、この仲間がいるのだ」ということを子どもに考えさせる題材の一つにもなります。

 

わが子の振る舞いに注意深い眼差しを

式典で子どもにきちんとしていてほしいというのは、親の共通の願いです。しかし、ダラダラとしていたり、じっとしていられなかったり、無駄話をしていたりと、ヒヤヒヤする場面を見せられることもあります。そんなときは、近づいていって、何とかわが子を抑えたい気持ちになります。ただ、現実には、居たたまれない気持ちや怒りを抑えて、堪えるしかない場合がほとんどでしょう。

そんな時、わが子が自分の期待どおりにできなかったのは、なぜだろう……と、考えたことがありますか。このような場面での、子どもの問題行動は、その場で怒ったところで、解決には至りません。今までの子育ての中で解決できなかった問題が姿を現しただけのことなので、わが子が問題を抱えていることを打ち明けてくれているんだと物事を見つめるチャンスと捉え対応していきましょう。